Web制作に着手金は必要?着手金を払うメリットやデメリットも解説
これから制作会社へWeb制作を依頼しようと考えている場合に、着手金の存在が気になっているという方もいらっしゃることでしょう。
納品前に料金の一部を前払いすることに対して抵抗を感じるクライアントも多いと思われますが、着手金は、受け取る制作会社側だけでなく、支払う側にとってもメリットがあります。
そこでこの記事では、以下のようなことについて詳しく解説していきます。
- Web制作を依頼する場合は必ず着手金が必要となるのか?
- 制作会社が着手金を求める理由
- クライアント側が着手金を払うメリットとデメリット
- 着手金を支払う場合の相場
目次
そもそもWeb制作に着手金は必要なのか?
結論からお伝えしますと、Web制作を依頼する際に着手金を払うかどうかはケースバイケースではあるものの、あまり一般的ではありません。
着手金不要で依頼を受けるホームページ制作会社も数多く存在します。
必ず必要となるわけではありませんので、着手金を求められないことも多いですし、一定額の前金が前提となっている制作会社でも、依頼時に交渉することで後払いにすることも可能です。
Web制作の世界において、着手金は当たり前の存在ではないのでご安心ください。
なお、「着手金を求められたから、この制作会社は駄目だ」と決めつけてしまうのはもったいないです。
着手金を取る会社が悪質だというわけではなく、あくまで「会社としてのスタンス」であるため、着手金の有無よりも、その制作会社の見積内容や提案内容、コミュニケーション、実績などを総合的に見て判断することをおすすめします。
Web制作依頼時の主な料金支払いパターン
Web制作を依頼する際の料金支払いパターンは、主に以下の3つに大別されます。
- 全額を前払いする
- 全額を後払いする
- 着手金+納品後に残額を支払う
全額を前払いする
制作会社がWeb制作に取り掛かる前に、「料金の全額を前払いするという形を求められる」というパターンもあります。
全額支払った後に、契約通りの成果物が納品されなかったり、制作会社が倒産してしまったり、といった可能性があることから、クライアント側としては最もリスクのある支払い方法であるため、抵抗を感じる場合も多いでしょう。
したがって、全額前払いという形式を採用している制作会社はほとんどありません。
ただし、簡易的なランディングページ制作などの場合には、支払総額が低くなることが多いことから、全額前払いとなることもあります。
全額を後払いする
支払い形式として最も多いのは、全額を後払いするというパターンでしょう。
「制作会社側でのホームページ制作が完了し、納品が済んだ段階で、契約時の料金をクライアントが支払う」という形なので、クライアント側としては最も安心できる支払い方法です。
逆に、制作会社側にとっては不安材料が多い支払い方法とも言えます。
例えば、以下のようなケースがあったとしましょう。
- クライアントが「Web制作に必要な資料」をなかなか提出しない
- 制作済みのデザインやロゴに対するクライアント側の確認が遅れている
- クライアントによる修正依頼が膨大
こういった場合、当然納品が完了するまでに時間がかかってしまうため、制作会社としては収入がない状態で作業を進める期間が長くなってしまいます。
こうした点を懸念して、着手金を求めるということもあります。
着手金+納品後に残額を支払う
制作会社が作業を開始する前に、クライアントが一定の着手金を支払い、納品完了後に残金を支払う、というパターンもあります。
「納品前に着手金を支払うのは不安」と感じるクライアントも多いでしょう。
しかし資金力の乏しい制作会社の場合、Web制作にかかる経費を賄うために着手金を求める、ということもあり得ます。
また、「クライアントが契約通りの料金を支払わない」といった稀なケースも想定し、いざという時に備えて着手金を受け取っておこうと考えている制作会社もあります。
Web制作の際に着手金がかかることは一般的ではないものの、それほど特殊な例でもないため、着手金を要求されることもあり得る、ということを把握しておいた方がよいです。
Web制作会社が着手金を求める理由
Web制作会社が着手金を求める主な理由は、「リスクヘッジ」と「制作費の確保」です。
詳細について、以下の項目で解説していきます。
リスクヘッジ
物やサービスを購入する際は、利用する前、もしくは利用すると同時に料金を支払うのが一般的です。
例えば、スーパーで日用品を買ったり、オンラインで電子書籍サービスを利用したりする際には、お金を払うことで商品やサービスが手に入ります。
一括払いが難しい「住宅」や「自動車」といった高額な商品の場合でも、頭金として一部の金額を払うことがほとんどでしょう。
しかし、以下のような作業型のタスクに対しては、「作業完了後に全額を支払う」ということが多いです。
- Web制作やシステム開発
- ライティングやイラスト作成
- 内装や外装の工事
- 結婚式
いずれも、1日で完結することは稀な仕事です。
結婚式ならば、式場側は何か月も前から準備しますし、内装や外装の工事も数日から数か月かかるのが普通でしょう。
Web制作も同様に、数か月単位の期間が必要となることが多いです。
こういった仕事の場合、着手金を受け取らないと「作業が完了するまでは無収入」という状態になります。
それでも、作業完了後に確実にお金が入ってくれば問題ありませんが、いざ支払いの段階になった際にクライアントが契約通りに支払わない、というリスクも否定できません。
そのリスクを回避する手段として、料金の一部を着手金として要求する会社も存在します。
制作費用への充当
前述の通り、小規模な制作会社ですと、長期に渡るWeb制作の経費を賄うのが難しいという場合もあります。
したがって、人件費や事務所の維持費といった必要な経費を確保し、滞りなく制作を進めるために着手金の支払いを求めてくることもあるでしょう。
納品前の支払いに対してネガティブに感じるクライアントも多いと思われますが、制作会社側としては、質の高い成果物をしっかり納品するための措置でもあるため、必ずしもマイナスに捉えることはありません。
その制作会社に依頼したい理由があるのならば、着手金の有無はあまり考慮しなくてもよいでしょう。
クライアント側が着手金を払うメリット
クライアント側が着手金を支払う主なメリットは以下の通りです。
- 制作会社に責任感を意識させる
- キャッシュフローがスムーズになりやすい
- 修正依頼を出しやすい
制作会社に責任感を意識させる
いくら正式な契約を結んだとはいえ、着手金なしで制作会社が作業に入った場合は、極端な言い方をすると「ただ働き」の状態となります。
もし仮に、納品後にクライアント側が料金の支払いを渋ったり、クライアントが途中で倒産したなどの事情によって支払い不能の状態に陥ったりすると、制作会社側に1円も入らないという事態もあり得るのです。
しかし、前金としてお金を受け取っているのならば、制作会社側としても安心感を得て、余計な心配をせずに仕事に打ち込めるでしょうし、突然のキャンセルリスクに怯えることなく責任を持って仕事に当たれるはずです。
もちろん、「着手金を受け取っていないから責任を感じる必要はない」などと考える制作会社はほぼ存在しませんが、着手金が円滑な制作に一役買う可能性は十分にあるでしょう。
また、着手金を支払うことで、制作会社側からの突然のキャンセルのリスクを減らせるというメリットもあります。
キャッシュフローがスムーズになりやすい
Web制作費用は、100万円を大きく超えるような金額になることも珍しくありません。
大規模サイトの構築となると、500万円~1,000万円といった費用が必要な場合もあり得ます。
そういった金額を納品の際に一括で支払うのは、あらかじめわかっていたこととはいえ、クライアント側にとって負担となることもあるでしょう。
支払うことが決まっているお金なので、予算として確保した上で手を付けずにいることがほとんどかと思われますが、「まだ支払いまで期間がある」といったような考えから、会社としての投資や目先の支払いに充ててしまうこともあるかもしれません。
そうなると、いざホームページが納品され、決済しなければならないという時に、予定していた支払いができないという可能性が出てきてしまいます。
しかし着手金を払っておくことで、納品完了後に支払う金額が減り、支払い不能という事態を避けやすくなるでしょう。
制作会社へ支払う金額は結局同じなので、損得の話ではないのですが、キャッシュフローの観点から見ればプラスだと言えます。
修正依頼を出しやすい
正式に契約を結んでいるのですから、着手金を支払っているかどうかに関わらず、制作物に対して出すべき修正依頼は出してもまったく問題はありません。
しかし、度重なる修正依頼を出す際は、本来感じる必要のない申し訳なさを感じてしまうこともあることでしょう。
その点、あらかじめ着手金を払っておくことで、「すでに料金の一部を渡している」という認識から、引け目を感じることなく正当な修正依頼をしやすくなるというメリットがあります。
クライアント側が着手金を払うデメリット
メリットだけでなく、クライアント側が着手金を払うデメリットも当然存在します。
主なデメリットとしては以下の通りです。
- 持ち逃げのリスクがある
- 中途解約が難しくなる
- 制作会社変更時の引継ぎがスムーズに進まない
持ち逃げのリスクがある
着手金だけをもらって一切制作をせずにお金を持ち逃げする、という制作会社もゼロとは言い切れません。
犯罪ですので、もちろんごくごく稀なことではありますが、一応リスクとして頭の片隅には置いておくべきでしょう。
- 公式HPがない
- 公式HPの内容が薄い
- 制作実績に嘘がある
このような制作会社は、注意した方がよいです。
中途解約が難しくなる
制作会社側の対応があまりにいい加減であったり、制作物のクオリティが異常に低かったりした場合には、中途解約を検討するということもあるでしょう。
しかし、一旦着手金を振り込んでいるような場合には、通常の契約解除の手続きよりも問題が複雑化する恐れがあります。
Web制作に限らず、一度支払ったお金を取り戻すことは非常に困難です。
交渉しても駄目ならば、最悪の場合裁判に持ち込まなければなりません。
ご存じの方も多いと思われますが、裁判は多額の費用と膨大な時間がかかってしまうこともあるため、できる限り避けるべきです。
一旦お金を払ってしまうと、制作会社側の対応についてどんなに納得がいかなくとも、納品完了まで我慢しなければならないことがある、という点はデメリットと言えます。
制作会社変更時の引継ぎがスムーズに進まない
仮に中途解約ができたとしても、制作会社の変更がスムーズに進まない可能性があるのもデメリットとなります。
途中で契約を解除されたということで、制作会社側が非協力的となり、これまでのWeb制作に関するドキュメントや成果物などの引き渡しを渋ることも考えられるでしょう。
そうなると、新たに依頼する制作会社が決まったとしても、引継ぎの資料が一切ないため新規での依頼にならざるを得なくなり、コストが高くなってしまいます。
一般的な制作会社であれば、クライアントに満足してもらえず、「制作会社を変更する」と告げられれば応じることがほとんどなのですが、中には素直に応じずゴネるという会社もあります。
特に、著作権譲渡契約を結んでいない場合は、制作したホームページの著作権が制作会社側に属しますので、非常に厄介な状況となってしまうでしょう。
着手金を払う場合の妥当な金額
「Web制作を依頼した際の着手金は、大体どれぐらいの金額が妥当?」
このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。
Web制作の着手金については、見積もり料金全体の20~30%程度の金額となるのが通常です。
ただ、総額に対してどの程度の割合で着手金を要求するかは、制作会社それぞれの考え次第となりますので一概には言えません。
とはいえ、半金以上を求められるということはまずあり得ないでしょう。
まとめ
以上、Web制作の着手金に関して、詳しく解説してきました。
Web制作を外注した際に着手金が必要となるケースはあまり多くはなく、弊社でも着手金は不要となっておりますが、一部の制作会社では「リスクヘッジ」や「製作費へ充当する資金」のために着手金を求めるということがあり得ます。
「着手金が必要 = 悪質な制作会社」というわけではありませんので、着手金の支払いを依頼された場合は、理由や用途を確認した上で、納得できたのならばWeb制作を依頼してもまったく問題ありません。
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