採用オウンドメディアと採用サイトの違いは?メリットや運用方法を紹介
Webを活用して人材を採用したいと考えている場合、主に以下のような方法がメインとなります。
- 求人サイトへの求人案件掲載
- 採用サイト(リクルートサイト)の制作・運営
- 採用オウンドメディアの制作・運営
上記をご覧になって、このような疑問を持った方はいらっしゃらないでしょうか。
「『採用サイト』と『採用オウンドメディア』って、何が違うの?」
もっともな疑問でしょう。
Web制作に慣れていない場合、どちらもほとんど同じものだと捉えてしまうのも当然のことです。
しかし両者には、似ている部分もあれば異なる部分も存在します。
そこでこの記事では、採用サイトと採用オウンドメディアの違いや、採用オウンドメディアを運営するメリット・デメリットなどについて詳細に解説していきます。
目次
各ホームページの定義
一口に「ホームページ」と言っても、様々な種類が存在します。
この項目では、「オウンドメディア」「採用サイト」「採用オウンドメディア」という、混同しがちなホームページの定義について紹介していきます。
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、企業が保有するメディア全般のことを指します。
企業が発行する広報誌やパンフレット、SNSアカウント、ホームページなどなど、すべてを含むのですが、Webの世界におけるオウンドメディアとは「企業が運営するホームページのみ」を指す場合がほとんどです。
オウンドメディアは、不特定多数のユーザーに興味を持ってもらえるコンテンツを配信し続けながら、検索エンジン経由で集客するという点が大きな特徴と言えるでしょう。
そのため、検索エンジンで自社オウンドメディアのページを上位表示させるための技術である「SEO」が非常に重要となります。
採用サイト(リクルートサイト)とは
採用サイトとは、その名の通り人材採用に特化したサイトのことであり、リクルートサイトとも呼ばれます。
求職者に対して自社の魅力を存分に伝えるためのコンテンツを充実させ、新卒採用や中途採用の促進を図ることが目的です。
人材を採用したい場合には、求人サイトへ出稿するという方法を選ぶ企業も多いでしょう。
しかし、自社で採用サイトを制作すれば、掲載スペースや仕様を気にすることなく自由に訴求できるという強みがあります。
採用オウンドメディアとは
採用オウンドメディアとは、通常のオウンドメディアよりも採用に重きを置いたホームページのことです。
人材採用を重視したオウンドメディアとして制作・運用することから、採用オウンドメディア運営のことを「オウンドメディアリクルーティング」と呼ぶこともあります。
採用サイト(リクルートサイト)との違いについてよくわからないという方も多いと思われますので、次の項目で詳しく解説していきます。
採用オウンドメディアと採用サイトの違い
採用オウンドメディアと採用サイトの主な違いは、以下の通りです。
- コンテンツを追加する頻度
- 集客するための手段
- リクルーティングに関するコンテンツの割合
コンテンツを追加する頻度
採用サイトの場合、一度コンテンツを作り込んで公開した後は、新たにコンテンツを追加していく頻度が少なめとなります。
更新するとすれば、既存ページに対するリライトやデザイン修正がメインとなるでしょう。
しかし採用オウンドメディアは、検索エンジンから集客するために、日々新たな記事を追加してできる限り多くのユーザーを集めなければなりません。
「新規コンテンツの追加頻度が大きく異なる」という部分が、両者の大きな違いと言えます。
集客するための手段
採用サイトは、人材採用に特化した作りにする必要があります。
そのため、検索エンジンで上位表示させるために必要なSEO対策を施すことが難しく、集客については、「SNS経由」「コーポレートサイトなど自社の関連サイトからの送客」「広告に頼る」などが主な手段になります。
SEO対策をするためには、自社とは直接関係のない記事も掲載していかなければならないからです。
対する採用オウンドメディアは、検索エンジンからの集客がメインです。
採用とはあまり関係がなくとも、自社の業界との関連性があれば自由なテーマでコンテンツを作成できるため、SEO対策もやりやすくなっています。
リクルーティングに関するコンテンツの割合
リクルーティングに関する情報のみで構成される採用サイトとは違い、採用オウンドメディアにおけるリクルーティングコンテンツは、ホームページを構成する一要素に過ぎません。
もちろん、通常のオウンドメディアよりも採用に関わる情報は多めに掲載されるものの、採用オウンドメディアのコンテンツの中心はあくまで「情報発信」です。
不特定多数のユーザーが「知りたい」と感じているであろう情報を載せた記事で集客し、そこから自社についても興味を持ってもらう流れに持っていきます。
アクセスしてくれたユーザーに対して、いかに自然な形でリクルーティングコンテンツへ誘導できるかどうかが、採用オウンドメディア制作のポイントと言えるでしょう。
採用オウンドメディアに載せるべきコンテンツ
採用オウンドメディアとして成果を出すためには、会社概要や待遇面などの一般的な情報の他にも、以下のようなコンテンツを載せるべきです。
- 検索エンジンから集客するためのSEO記事
- 社員たちのインタビュー
- 福利厚生や会社としてのこだわり
それぞれ、掲載すべき理由について解説していきます。
検索エンジンから集客するためのSEO記事
採用オウンドメディアは、リクルーティングに関連するかどうかを問わず、集客が期待できるキーワードを探して記事を量産していく必要があります。
「まずは検索エンジンからユーザーを集める」というのが、採用オウンドメディアにおけるコンテンツマーケティグの第一段階だからです。
「ユーザーに閲覧してほしいリクルート向けのページ」への導線がいかに上手く作れていても、採用オウンドメディア自体に人が集まっていなければ意味がありません。
また、記事はただ数を増やせばいいわけではなく、SEOを意識した質の高い記事に仕上げなければいけない、という点も重要です。
キーワードに対する検索意図を満たした記事でなければ、検索エンジンでの上位表示が難しいため、数よりも質にこだわるようにしてください。
社員たちのインタビュー
SEO記事で集客した後は、内部リンクやCTAを駆使してリクルート向けの各ページへ誘導していきます。
そして、リクルート向けページとして欠かせないコンテンツが「社員たちへのインタビュー記事」です。
実際に働いている社員たちの意見や姿を知ることができるインタビュー記事は、求職者にとって非常に貴重な情報源となります。
- 年代や服装など、どのようなタイプの人が働いているのか
- どういう志を持った人が多いのか
- 社員たちはこの会社の仕事や職場に対してどう感じているのか
- 具体的にどういった流れで仕事をしているのか
社員たちへのインタビューを通してこのような発信をすることで、自社に対して一層の強い興味を持ってくれるユーザーが増えることでしょう。
なお社員インタビュー記事は、名前や顔を出せる社員を優先した方がよいです。
「匿名」や「顔出しなし」の社員よりも説得力が生まれますし、社員の表情も会社の雰囲気を伝えるための大事な要素となるからです。
強制はいけませんので、名前も顔も出したインタビューに積極的に参加したいという社員にのみお願いするようにすべきでしょう。
福利厚生や会社としてのこだわり
就職や転職を考えている人は、「福利厚生がどれほど充実しているのか」「どういう理念を持って会社運営を行っているのか」といった点も気にしているはずです。
こういった疑問を解決できるコンテンツも必ず用意しなければなりません。
社会保険や労災保険といった法定福利厚生だけでなく、以下のような「法定外福利厚生」についても積極的にアピールしていきましょう。
- 住宅手当
- 社員食堂の有無
- ストックオプション制度
- レジャー施設の割引 …など
また、会社としてこだわっていることについても余さず発信した方がよいです。
変に良いことだけを発信するのではなく、「もしかしたらネガティブに捉えられてしまうかもしれない」ということも恐れずに伝えていきましょう。
耳障りの良いことばかりを発信しても、入社後のミスマッチを生むだけです。
企業カルチャーが正確に伝わるような具体的な発信をすることで、求めている人材と出会いやすくなります。
採用オウンドメディアを運用するメリット
採用オウンドメディアを運営するメリットは数多く存在します。
主なメリットとしては、以下の通りです。
- 採用コストを抑えられる
- ミスマッチな応募を減らせる
- 自社の認知拡大に繋がる
- 求人掲載と違って資産性がある
- ユーザーのニーズを探りやすい
- 潜在層・準顕在層のユーザーにアプローチできる
採用コストを抑えられる
採用オウンドメディアを運営することで、リクルーティングに関する費用を削減することができます。
もし採用だけに特化した活動をしようとすると、下記のようなコストがかかります。
- リクルートサイトの制作や運用にかかる費用
- 広告出稿費用
- 求人サイトへの掲載費用
広告を出稿してリクルートサイトへアクセスを集めたり、求人サイトへの案件を掲載したりといった運用は、「すぐに結果が出やすい」というメリットがあります。
しかしその分、費用が高額になりやすいというデメリットがあることも否定できません。
しかし採用オウンドメディアならば、広告費用に比べてコストを下げられる可能性が高いですし、検索エンジンからの自然流入が継続しやすい点から資産性があるとも言えます。
もちろん、採用オウンドメディアの場合も制作や運用のコストは必要ですが、トータルで見た場合の採用コストは下がる可能性が高いでしょう。
ミスマッチな応募を減らせる
通常のオウンドメディアの場合、「徹底したSEO対策によってアクセスを集め認知拡大を図る」というのが目的となりますが、採用オウンドメディアはリクルーティングの要素も強い媒体です。
検索エンジンからの集客を目的としたSEO記事だけでなく、会社の雰囲気や仕事内容、社員たちの口コミ、カルチャーなどなど、求職者が知りたい情報も数多く掲載されています。
したがって、転職を考えている人からすれば、自分が働きたいと思っているような会社かどうかを正確に判断しやすくなるため、面接時や入社後のミスマッチを大幅に減らすことが可能となるでしょう。
応募に関してミスマッチがあると、採用担当者側も応募者側も時間の無駄になってしまいますし、仮に採用となった場合でも早期退職に繋がる可能性が高いです。
そうしたリスクを減らせるというのも、採用オウンドメディアを運用する大きなメリットです。
自社の認知拡大に繋がる
「採用オウンドメディア」という名前ではありますが、基本的にはオウンドメディアとなるため、本来の強みである「認知拡大」についても大いに役立ちます。
リクルーティング色を抑えた一般的なオウンドメディアの方が、より自由に記事を作成できるため集客がしやすくなります。
しかし、採用オウンドメディアも「SEO記事を主体として検索エンジンから集客する」というスタンスは同じなので、長期的に運用することで自然と自社の名前やサービスが浸透していくことに期待できるでしょう。
求人掲載と違って資産性がある
採用コストの項目でも述べましたが、採用オウンドメディアには資産性があります。
運用を続けていれば、様々なキーワードから多くのユーザーが訪問し続けてくれるからです。
しかし求人の掲載は、掲載期間が終了するとそれで終わりとなってしまいます。
「求職者に対してダイレクトにアプローチできる」という強力なメリットこそありますが、もし求人の掲載期間中に誰も採用できなければ、ダメージは大きいでしょう。
その点採用オウンドメディアは、記事が資産として残ります。
記事追加やリライトを繰り返すことで、その資産性はさらに高まっていくのです。
ユーザーのニーズを探りやすい
検索エンジンから流入したユーザーの動きを分析することで、ユーザーのニーズを探ることができるという点も採用オウンドメディア運営のメリットと言えます。
アクセス解析ツールを活用すれば、どのページの滞在時間が長いのか、逆にどのページの人気が低いのか、といったことが一目瞭然となります。
ページ滞在時間が長いということは、それだけユーザーに刺さっているコンテンツということですので、その記事と近いテーマや構成の記事を増やすことでさらに集客しやすくなることでしょう。
潜在層・準顕在層のユーザーにアプローチできる
- 「転職したい」という漠然とした意識がある(潜在層)
- 転職に興味があるものの行動に移せていない(準顕在層)
こういった方々は、意外に多いものです。
転職は人生の中でもかなり大きなイベントですから、慎重になりすぎてなかなか動けずにいるというケースは珍しくありません。
そんな潜在層・準顕在層のユーザーが自社の採用オウンドメディアを訪れた場合に、「この有益な記事を発信しているのはどういう企業なのだろう?」と興味を持つことは十分あり得ることでしょう。
そして自社に興味を持ったユーザーが、「この会社は採用活動にも力を入れている」ということを知れば、転職への思いが膨らみ、行動を起こしてくれる可能性も高くなるはずです。
採用オウンドメディアを運用するデメリット
採用オウンドメディア運営にはメリットも多いですが、デメリットも存在します。
デメリットについても把握した上で、運営するかどうかを決めるべきでしょう。
主なデメリットは以下の通りです。
- 人材を採用できるまでに時間がかかる
- 運用コストがかかる
- SEOの知識が必要
人材を採用できるまでに時間がかかる
オウンドメディア運営は、成果を出せるようになるまで時間がかかる、という大きなデメリットがあります。
それは、採用オウンドメディアの場合も同じです。
SEOを主体としたメディア運営は、一度軌道に乗れば安定して集客しやすいという特徴があるものの、短期間でいきなり結果を出すのは非常に難しいのです。
「すぐに結果が出る上、その効果が持続しやすい」という都合の良い施策など、この世に存在しないでしょう。
採用オウンドメディアは長いスパンで運営することを前提としてください。
運用コストがかかる
採用オウンドメディアの制作・運用には、当然ながら一定のコストがかかります。
「求人広告掲載」や「リクルートサイト制作・運用」に比べるとコスパが良くなる傾向にありますが、それでも事前にしっかりと予算を組んでおくことが重要です。
求人広告の掲載ならばいつでもやめられますが、採用オウンドメディアの運営は長期的な視点で考えるべきなので、途中でやめてしまうのは大変もったいないです。
予算が尽きてしまい、「ようやく成果が出そうなところで運用を断念する」といった悔しい思いをしないように、採用オウンドメディア運営に乗り出す際は運用コストについてできるだけ正確に見積もっておきましょう。
SEOの知識が必要
採用オウンドメディアは、検索エンジンからユーザーを集めるという方法が集客のメインです。
したがって、検索エンジンで上位表示させるための技術である「SEO」について深く理解した人材が、記事作成を行う必要があります。
しかし、SEOの知識はそう簡単に身に付くものではありません。
本やネットなどで得た「知識」よりも、「経験」がモノを言うスキルであるため、自社内で手の空いている人材に適当に運用を任せる、といったことができないのです。
SEOに強い採用オウンドメディアを作り上げるためには、SEOに精通した人材を採用するか、SEOに強いフリーランスや制作会社に相談するのがおすすめです。
採用オウンドメディアを運用する際の注意点
採用オウンドメディアを運用する際は、注意すべき点がいくつかあります。
注意点についてあらかじめ理解しておくことで、失敗するリスクを減らすことができるでしょう。
人的リソースや予算を確保しておく
繰り返しになりますが、採用オウンドメディアは長期運用が前提となります。
そのため、人的リソースや予算について長いスパンで見ても問題ないレベルで見積もっておくべきです。
大企業の場合はもとからドメインパワーが強いため、スタート直後から集客できる可能性もあります。
しかし、中小企業がゼロからオウンドメディアを立ち上げる場合、一定の成果が期待できるようになるまでに最短でも1年程度は見ておくべきでしょう。
「太く短く」ではなく、「細く長く」という形で続けていくことが大事です。
「毎月50記事ペースで追加して、すぐに結果を出したい!」
こう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、「運用体制が整っている」「予算に大幅な余裕がある」といったケースでなければ、初月から50記事といったハイペースで飛ばすのではなく、無理のない範囲で進めた方がよいです。
通常のオウンドメディアとの違いを意識する
通常のオウンドメディアの目的は、有益な情報発信を続けることによって不特定多数のユーザーを集め、自社や自社サービスの認知拡大を図ることです。
その結果として、売上向上を目指す形となります。
しかし採用オウンドメディアの場合は、認知拡大を意識するところまでは同じですが、最終的なゴールが異なります。
売上よりも「採用」に重きを置いているため、自社で働くことの魅力を余すことなく伝えたり、社員たちがどういった環境で働いているのかを具体的に伝えたりできる作りにしなければなりません。
制作・運用に関して、そもそもの目的が違うということは強く意識しておきましょう。
自社制作にこだわりすぎない
採用オウンドメディアは、リスティング広告やSNS広告といった「広告運用による集客」ではなく、「検索エンジンからの集客」がメインとなります。
そのため、ホームページ全体をSEOに強い作りにした上で、記事の一つ一つについてもSEOに特化した内容になっていなければいけません。
しかし、SEOに精通している人材が自社にいない、というケースも多いでしょう。
そういった場合は、ホームページ制作の専門家である制作会社を利用するという方法も有効です。
制作会社ならば、クライアントのニーズに応じた提案はもちろん、SEO対策についての相談も可能です。
まとめ
以上、採用オウンドメディアと採用サイト(リクルートサイト)の違いや、採用オウンドメディアを運用するメリット・デメリットなどについて詳しく解説してきました。
採用コストは、企業にとって重い負担です。
採用オウンドメディア運営は、その負担を軽減できる可能性のある方法ですので、興味をお持ちであれば是非チャレンジしてみてください。
もちろん、弊社へのご相談も大歓迎です。
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