オウンドメディアはオワコンじゃない!有効活用するための戦略を解説
「オウンドメディアはすでにオワコンだ」
「今からオウンドメディアを制作する意味などない」
このようなネガティブな意見を見たり聞いたりしたことで、オウンドメディア制作は避けた方がいいのかとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
しかし結論からお伝えしますと、企業がオウンドメディアを持つメリットは多く、制作する価値は高いと言えます。
オウンドメディアを育てることにより、広告費を大幅に削ることができますし、自社や自社サービスの固定ファンを生み出すことも可能になるのです。
他にも、多くのメリットが存在します。
では、そんなオウンドメディアがなぜ「オワコン」などと言われることがあるのでしょうか?
この記事では、オウンドメディアがオワコンと言われてしまう原因や、オワコン化しないための戦略などについて詳しく解説していきます。
オウンドメディアとは
オウンドメディアがオワコン化する原因や、オワコン化しないための戦略などについて解説していく前に、まずはオウンドメディアの定義や歴史などについて紹介していきます。
オウンドメディアの定義
オウンドメディアとは「企業が所有するメディア」を指す言葉で、広義では、会社が発行する広報誌やパンフレット、カタログ、ホームページ、SNSなどの総称となります。
ただ、狭義では「ホームページのみ」のことを指す場合も多いです。
特にWebの世界においては、「オウンドメディア = 自社運営のホームページ」という認識が一般的ですので、本記事でもこの前提で解説していきます。
オウンドメディアの歴史
オウンドメディア制作が盛り上がってきたのは、2010年代に入ってからです。
この頃から多くの企業がオウンドメディアに興味を持ち、盛んに制作されるようになりました。
それからもブームは続き、オウンドメディアの隆盛は続いていたのですが、2016年に「WELQ事件」が起こってしまいます。
WELQ事件とは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営していたキュレーションサイトである「WELQ」にて、SEOでの集客だけに特化し、「肩こりは幽霊が原因」といったような誤情報でも構わず掲載していたことで問題となった出来事です。
この一件の影響で、一時的にオウンドメディアの勢いが衰えたと言われていますが、やはりオウンドメディアを保有する価値は高いという認識はそう簡単に崩れませんでした。
2010年代中盤における「ブーム」と言えるほどの勢いがあるとは言えないものの、今現在でもオウンドメディアは高い需要を維持しています。
「オウンドメディアはオワコン」と言われる理由
オウンドメディアがオワコンだと言われてしまう理由は、大別すると以下の2つになるでしょう。
- 2020年代に入ってからは、2010年代ほどの盛り上がりがない
- 大手オウンドメディアの閉鎖が続いた
まず1つ目の理由は、「最盛期と比較した場合に勢いがないから」という点です。
しかし、これは当然のこととも言えます。
2010年代中盤はオウンドメディア制作がブーム化していました。
どんなジャンルにも言えることですが、ブームの頃と比べれば、どうしても勢いでは負けてしまうでしょう。
したがって、「最盛期と比べたら落ちているからオワコンだ」というロジックは少々強引に思えます。
もう一つの理由としては、大手オウンドメディアの閉鎖が相次いだことです。
リクルートが運営していた「HRナビ(2018年9月に閉鎖)」、KDDIの関連会社が運営していた「nanapi(2019年6月に更新停止)」など、大手オウンドメディアが続々と終焉を迎えています。
こういった出来事を目の当たりにし、オウンドメディアに対してネガティブなイメージを持ってしまった方も少なくないのかもしれません。
オウンドメディアは決してオワコンではない
このように、一部で「衰退した」と言われているオウンドメディアですが、実際はそうではありません。
今でもオウンドメディアは続々と誕生していますし、制作する価値も高いままです。
それを象徴する出来事として、「ぐるなび」のオウンドメディアが参考になります。
ぐるなびが運営しているオウンドメディア「みんなのごはん」は、2019年6月に更新停止を発表しました。
しかし、「『みんなのごはん』にできることがまだあるはず」という理由から、2020年4月に更新を再開しています。
※参考:みんなのごはんは、更新停止を停止します | ぐるなび
オウンドメディアの価値を見直した結果、再開すべきという判断を下したのでしょう。
繰り返しになりますが、オウンドメディアを運営する価値や需要は依然高く、正しく運用すれば、認知拡大や販促のための強力なツールとなり得ます。
オウンドメディアがオワコン化してしまう原因
オウンドメディアがオワコン化してしまう原因は、「正しい制作・運用ができていないから」という一言に尽きます。
この項目では、オウンドメディアをオワコン化させてしまう「やりがちなミス」について紹介していきます。
目的が定まっていない
オウンドメディアを制作する意味を理解しないまま、明確な目的を設定せずに制作・運用を進めてしまうと、オワコン化するリスクが高まります。
オウンドメディアの主な役割は、「企業名やサービス名の認知拡大」と「売り上げ向上」です。
この点を理解せず、「他社もオウンドメディアを持っているから、自社でも作ってみよう」といった曖昧な理由で制作してしまうと、大した成果は得られないでしょう。
オウンドメディア制作を検討する際には、ホームページの種類と役割を正しく把握し、達成すべき目標を定めるところから始めるべきです。
ユーザーを無視した一方的な情報発信になっている
オウンドメディアが失敗に終わってしまう原因として、ユーザー目線からかけ離れた一方的な情報発信をしてしまう、というものも多いです。
オウンドメディアが担う役割は、ユーザーの疑問や悩みを解決する有益な情報を発信して集客し、「どういう会社がこんな良いコンテンツを作っているのだろう」と自社に興味を持ってもらい、最終的には売り上げに繋げていくというものです。
つまり、「まずは集客ありき」なのです。
しかし、自社が世の中に訴えていきたいメッセージや主義主張を前面に出したようなコンテンツばかりですと、ユーザーがついていけません。
企業やサービスのブランディングを目的とした「ブランドサイト」で、自社の理念やメッセージ、世界観などを伝えていくのは良いのですが、オウンドメディアには適さないのです。
ユーザーファーストになっていないオウンドメディアは、オワコン化するリスクが高まってしまうのでご注意ください。
すぐに結果が出ないことで諦めてしまう
オウンドメディアを立ち上げれば、すぐに記事が上位に表示されてアクセスが集まり、売り上げもアップする、という幻想を抱いている場合、オウンドメディアがオワコン化してしまう可能性が高くなります。
なかなか結果が出ないことで更新頻度が下がり、さらにアクセスが集まりにくい状況を作ってしまう、という負のループに陥るからです。
よほどの大企業でもない限り、オウンドメディア育成にはある程度の時間がかかります。
企業規模や、新規記事の追加頻度、リライトの頻度などにもよりますが、最低でも1年は見ておいた方がよいでしょう。
「数か月頑張ってみたけど思うようにアクセスが増えないから、更新頻度を下げた」というような場合、オワコン化してしまうのは当然です。
宣伝色が強すぎる
オウンドメディアは、ユーザーファーストな作りを意識することが必須です。
もちろん、オウンドメディア制作の最終的な目標は「売り上げ向上」ですから、コンバージョンについても意識する必要はあります。
しかし、あまりにもバランスを欠いた作りになっていると、ユーザーからそっぽを向かれてしまうでしょう。
- 記事が自社サービスありきで作成されている
- 自社サービスの紹介記事ばかりになっている
このようなケースは、典型的な悪い例です。
検索エンジン経由で、初めて自社のオウンドメディアを訪れたユーザーは、自社を知らないことがほとんどです。
そんな状態でいきなり宣伝色の強い記事を見せられても、ユーザーにはまったく響かないでしょう。
まずは、オウンドメディア自体に興味を持ってもらえるようにしなければなりません。
コンバージョンを狙うのはその後です。
オウンドメディアを有効活用するための戦略
オウンドメディアをオワコン化させずに有効活用するためには、以下のような戦略を実施することが重要です。
- 長期的な予算を組む
- 「すぐにうまくいくことはない」と理解する
- 目先の売り上げに走らない
- いきなりビッグキーワードを狙わない
- ユーザーファーストにこだわる
長期的な予算を組む
オウンドメディアの運用は、長期間に渡って取り組むことが非常に重要です。
そのため、制作費だけでなく、長期間の運用が可能な予算を組んでおくことも留意しておくべきでしょう。
一番もったいないのが、オウンドメディアを制作し、無事公開まで漕ぎつけたものの、運用開始から数か月で予算がなくなり更新を停止した、というようなパターンです。
ただ経費がかかっただけで、リターンを得る段階にまで辿り着かずに終わってしまうわけですから、悲劇としか言いようがありません。
このような失敗をしないように、長期的なスパンでの予算計画を立て、予算確保について問題ないと判断してから制作に入るようにしてください。
「すぐにうまくいくことはない」と理解する
オウンドメディア運営は、一朝一夕で成功するものではありません。
大企業が大資本を投下して制作・運用するような場合を除けば、年単位で続けていく必要があります。
たった数か月運用しただけですぐに諦めてしまい、「やっぱりオウンドメディアは駄目だ!今はSNSだ!」とコロコロ方針を変えてしまうようでは、SNSでもきっとうまくいかないでしょう。
手段のせいにする企業に成功はないのです。
「継続は力なり」ということわざ通り、最初は思うような成果が上がらなくとも、すぐに諦めず、粘り強く続けていくことが肝心です。
序盤は経費が先行してしまうかもしれませんが、一度軌道に乗れば、オウンドメディア運用費用を大きく上回る利益を回収し続けることも可能となります。
目先の売り上げに走らない
オウンドメディア制作の最終的な目的は、「売り上げの向上」です。
しかし、露骨に売り上げを重視した作りにしてしまうのはNGとなります。
目先の売り上げに走り、毎記事のように自社サービスの紹介項目を作ったり、無理やりLPに誘導したりしてしまうと、ステマ感が強くなり拒否反応を示すユーザーも増えてしまうでしょう。
自社サービスを訴求する際は、以下のようなやり方がおすすめです。
- 記事の最後に添え物としてLPへのリンクを掲載
- CTAとして記事内に適度に挿入
なお、記事の内容的に自社サービスが大いに関係する場合は、記事内に項目を用意して強く訴求するのも有効です。
いきなりビッグキーワードを狙わない
ビッグキーワードとは、多くの人が検索する「検索ボリュームの多いキーワード」のことです。
たくさんの人が検索するキーワードなので、上位表示できれば大きな集客に繋がりますが、当然ながらライバルが多いためそう簡単に上位にはいけません。
特に、これからオウンドメディアの運用を始めようという場合は、ドメインパワーがほとんどない状態からスタートしますので、より不利な戦いになってしまうのです。
いきなりビッグキーワードばかりに挑戦してしまうと、なかなか結果が出ず、いつの間にか更新をやめてしまいオワコン化する、という流れになりやすいので、まずはロングテールキーワード(検索ボリュームの少ないキーワード)から狙っていくことが大事です。
ユーザーファーストにこだわる
オウンドメディア制作で成功するための最大のコツは、「ユーザーファーストにこだわる」ことです。
「自社がアピールしたいこと」ではなく、「ユーザーに満足してもらえること」を優先して、コンテンツ作りをしていきましょう。
例えばプログラミングスクールのオウンドメディアならば、自社で運営するスクールをプッシュする記事ばかりにするのではなく、「プログラミングスクールに興味を持っているユーザーの悩みを解決すること」を優先すべきです。
- プログラミングスクールに通うメリットやデメリット
- 独学とスクール、どちらがおすすめなのか
- どんなスクールに通えばいいのか
プログラミングスクールへ通うかどうか検討している人は、このようなことを知りたいはずです。
特に、「どんなスクールに通うべきか?」という悩みは、多くの方が抱えていることでしょう。
プログラミングスクールを運営しているのならば、業界にも当然詳しいでしょうから、「ユーザー目線で考えると、自社よりもライバルであるAスクールやBスクールに入会すべき」というケースもあるはずです。
「他社を紹介したところで1円の得にもならない」「むしろ損だ」という考えを持ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、目先の損得よりも、ユーザーファーストな情報を惜しみなく公開することを優先すれば、ユーザーからの信頼は高まり、結果的に自社のオウンドメディアの価値も高まっていくのです。
まとめ
以上、オウンドメディアがオワコン化してしまう原因や、オワコンにさせないための戦略などについて解説してきました。
オウンドメディアに対するネガティブな発信も一部で存在しますが、制作する価値はまだまだ高いと言えます。
正しく運用すれば、強力な集客ツール・売り上げ向上ツールとして機能しますので、オウンドメディアに興味がある場合は、一度じっくりと検討してみてはいかがでしょうか。
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