Webデザイナーにコーディングスキルは必要?どこまで学ぶべき?独学方法を解説

Webデザイナーにコーディングスキルは必要?どこまで学ぶべき?独学方法を解説
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Webデザイナーの本来の仕事は、「Webデザインを制作すること」です。

具体的には、Webサイトの設計書であるワイヤーフレームや、完成サンプルであるデザインカンプなどの制作です。

しかし、昨今では「Webデザイナーにもコーディングスキルが必要だ」と言われるようになっています。

この記事では、なぜWebデザイナーにもコーディングスキルが求められているのかについてや、学ぶとしたらどこまで学べばいいのか、コーディングを独学で学ぶにはどうすればいいのか、などについて詳しく解説していきます。

Webデザイナーにコーディングスキルが必要な理由

Webデザイナーにコーディングスキルが必要となる理由は、主に以下の5つです。

  • Webデザイナーの数が飽和状態となっているから
  • レスポンシブデザインが当たり前になっているから
  • フロントエンドの仕事を円滑に進めやすくなるから
  • キャリアパスを広げられるから
  • コーディングスキルが前提となっている求人もあるから

Webデザイナーの数が飽和状態となっているから

Webデザイナーは人気職種ということもあり、現在では「Webデザインの制作だけならできる」という人がかなり多い状況です。

ライバルが多いということは、それだけWebデザイナーとしての就職のハードルが上がったり、フリーランスとしての案件獲得が難しくなったりする、ということを意味しています。

実際、厚生労働省が提供する職業情報提供サイト「jobtag」によると、Webデザイナーとして就業している人は約20万人もいて、2024年時点での有効求人倍率は「0.12倍」という厳しい数字になっています。

つまり、1つのWebデザイナー求人に対して約8人が応募し、1人しか採用されない、ということになるわけです。

このような厳しい状況の中で採用枠を勝ち取るには、他のWebデザイナーとの差別化を図るため、コーディングスキルを習得して「デザインの実装まで可能」という状態にしておくことが非常に重要だと言えるでしょう。

レスポンシブデザインが当たり前になっているから

一昔前までと違い、今では様々な端末からWebサイトを閲覧することができます。

例えば、パソコン・スマートフォン・タブレットなどです。

こうした状況に対応するため、現在のWebデザインはレスポンシブデザインを前提として制作するのが当たり前になっています。

レスポンシブデザインとは、Webサイトが表示される端末に応じて自動的に表示方法を最適化するという手法です。

レスポンシブデザインに対応するには、レイアウトを柔軟に変化させられるような作りにしておかなければなりません。

したがって、自分で実装まで担当しないまでも、CSSでのコーディングを前提としたレスポンシブデザインに対応しやすいデザインを制作する必要があるのです。

フロントエンドの仕事を円滑に進めやすくなるから

フロントエンドとは、Webサイトにおける「ユーザーが直接触れる部分」のことで、主にWebデザイナーとフロントエンドエンジニアとで作っていきます。

その際、Webデザインをコーディングできるほどのスキルがなくとも、HTML/CSSの知識を持っておくことでフロントエンドエンジニアと円滑にやりとりできるようになります。

フロントエンジニアとしては大変仕事がやりやすくなることでしょうし、制作プロジェクトを管理しているプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーからの評価も高まることでしょう。

キャリアパスを広げられるから

コーディングスキルを身に付けておけば、Webデザイナーからのキャリアパスも広がります。

将来性を高めるために、できるだけキャリアパスの選択肢は増やしておくべきでしょう。

まず第一に、フロントエンドエンジニアへの転身が考えられます。

フロントエンドエンジニアは、Webデザイナーよりも多くのスキルが求められますが、その分年収も高い傾向にあります。

Webデザイナーの平均年収は400万円前後となっているものの、フロントエンドエンジニアの平均年収は500~600万円ほどとなります。

その他、スキルを増やすことで様々なキャリアパスを選択することが可能です。

コーディングスキルが前提となっている求人もあるから

Webデザイナーの求人では、「コーディングスキルを持っていることが前提となっている」という案件も珍しくありません。

Webデザイナーを募集する求人情報を確認すると、「コーディング必須」といった記述があることも多いです。

記述がなかったとしても、選考が進むにつれて「コーディングスキルがどの程度あるのか」について問われることもあるようです。

実際、IT業界におけるクリエイター専門の大手転職エージェントであるマイナビクリエイターによる調査では、Webデザイナーを募集する求人のうち、約40%が「必須業務経験」としてコーディングが明記されていました。

このように、「コーディングができるWebデザイナー」の存在を当たり前だと捉えているクライアントも一定数存在するのです。

Webデザインのコーディングに必要となる言語

Webデザインのコーディングには、HTMLとCSSが欠かせません。

さらに高度なコーディングを行うためには、JavaScriptも必要となります。

では、それぞれの言語にはどのような特徴があるのでしょうか。

この項目でわかりやすく解説していきます。

HTML

HTML(HyperText Markup Language)とは、Webページの構造や文章構成といった土台を組み立てるためのマークアップ言語です。

「タグ」と呼ばれる記号を使ってテキストに意味を与え、見出しを作ったり、表やリストといった形式で表示したり、画像を掲載したりします。

例えば、「h1」というタグを使って囲った文章は、そのWebサイトの「記事タイトル」を意味することになります。

HTMLは、Webサイトを制作する上でもっとも基本となる言語であり、習得難易度は低めです。

CSS

CSS(Cascading Style Sheets)とは、Webサイトのレイアウトを調整したりフォントの色やサイズを変えたりといった装飾を行うためのスタイルシート言語です。

HTMLのみでWebサイトを制作してしまうと、味気なく読みづらいものになりやすいのですが、CSSでデザインを整えることでユーザーにとって見やすいサイトに仕上げることができます。

基本的には、HTMLと一緒に使用されることから、「HTML/CSS」と表記されることも多いです。

JavaScript

JavaScriptは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語のことで、Webサイトに動きをつけたり様々な機能を追加できたりします。

JavaScriptを用いることで、以下のようなことが可能となります。

  • マウスオンでボタンを動かす
  • アニメーションを流す
  • ポップアップウィンドウを表示する
  • 入力フォームの内容をチェックする

これらはJavaScriptでできることのほんの一部であり、その他様々なことを実現できます。

なお、HTMLやCSSとは違って「プログラミング言語」なので、習得難易度はある程度高めだと考えておいた方がよいでしょう。

Webデザイナーはコーディングをどこまで学ぶべき?

Webデザイナーが、コーディングについてどこまで学ぶべきかについては、「本人がどのレベルまで目指すか」によって大きく変わってきます。

目指すレベル学習すべき範囲
コーディングを前提としたWebデザインを作成できるHTML/CSSの基礎知識
自分でWebデザインのコーディングまで担当できるHTML/CSSの実践的な知識とスキル
Webサイトに動きをつけたり入力チェック機能を搭載したりできるHTML/CSSに加え、JavaScriptのスキルや、JavaScriptのライブラリであるjQueryのスキル

JavaScriptやjQueryのスキルまで身に付ければ、フロントエンドエンジニアと同じような仕事ができるため、重宝される可能性が高くなります。

ただし、Webデザイナーの本分はあくまでWebデザインであることを忘れてはいけません。

当然ではありますが、「Webデザインに関する知識やスキル」がしっかりしていることが大前提です。

  • Webデザインを制作するためのスキル
  • デザインの設計力
  • ユーザーの使いやすいサイトを作るためのUI/UXの知識

こういった点が疎かになっていると、いくらHTML/CSSやJavaScriptといった言語のスキルを習得しても、Webデザイナーとしての価値は高まりません。

コーディングについてどこまで学ぶべきかを意識することも大事ですが、まずはWebデザイナーとしての基本スキルがしっかりしているかについて確認するようにしてください。

Webデザイナーがコーディングを独学で習得する方法

Webデザインを学ぶ際に、スクールを利用するという方法もありますが、Webデザインは独学でも十分に習得可能です。

以下のような方法を併用することで、高額な費用を払ってスクールに通うことなくWebデザインのスキルを身に付けることができます。

  • 書籍を購入する
  • YouTubeで参考となる動画を探す
  • オンライン学習サイトを活用する
  • メンターと契約する

書籍を購入する

最も基本的な学習方法は、Webデザイン関連の書籍を購入して学ぶことです。

Webデザインに関する書籍は、数多く出版されています。

Amazonなどのネットショップで「Webデザイン 初心者」といったキーワードで検索すると、初心者向けの参考になる書籍が多数ヒットします。

例えば、以下のような書籍です。

まずはこういった書籍を参考にして、Webデザインについての基本的な知識について体系的に学んでみましょう。

YouTubeで参考となる動画を探す

YouTubeには、有料で配信されていても違和感のないほどの高いクオリティの教育関連動画が、多数配信されています。

Webデザインに関する動画も同様で、スキルを持った人による質の高い動画がアップされているため、学習の際には大いに役立つことでしょう。

ただし、YouTubeには「長尺の動画はよほど魅力がなければ視聴率が伸びない」という特徴があります。

したがって、Webデザインについても「特定の部分にスポットを当てて短時間で解説している」という動画が多いため、初心者の方が体系的に学ぶのには向いていません。

Webデザインについてゼロから学ぶ際は、上記で紹介したような書籍から入ることをおすすめします。

オンライン学習サイトを活用する

オンライン学習サイトを利用してWebデザインの独学を進める、という方法も有効です。

プログラミングに関するオンライン学習サイトが多いのですが、そういったサイトではWebデザインについての講座を用意していることも多いです。

代表的なオンライン学習サイトについては以下の通りです。

  • Progate
  • ドットインストール
  • Udemy

HTML/CSSやJavaScriptを使ったコーディングについての講座を用意している学習サイトも多いので、独学でコーディングまで習得したい場合には是非活用してください。

特にProgateは、月額料金が安く、Webデザインやプログラミングの初心者からの支持が高い学習サイトとなっています。

メンターと契約する

完全な独学の場合、「学習のモチベーションが維持できない」「疑問点が解決できない」といった問題から、挫折しやすいという難点があります。

そういった不安がある場合には、メンターを探して契約するのがよいでしょう。

メンターとは、アドバイスをくれたり、相談に乗ってくれたりする人のことです。

その道においての実績や経験が豊富な人が、自身の目標達成のために伴走してくれます。

独学のみで完結させることに比べると多少費用はかかってしまいますが、スクールに通うよりはコストを抑えられる可能性が高いです。

なおメンターを探す際は、「SNSで募集する」「MENTAなどのメンターと出会えるマッチングサイトを利用する」といった方法があります。

コーディングスキルなしでWebデザイナーとして生き残る方法

コーディングスキルがなくとも、Webデザイナーとして生き残っていくことは可能です。

そのための方法としては、主に以下のようなものがあります。

  • Webデザインを極める
  • 作業スピードを上げる
  • コーディング以外の関連スキルを身に付ける

Webデザインスキルを極める

Webデザインスキルは、Webデザイナー特有のものと言えます。

コーディングができるWebデザイナーは多く存在しますが、Webデザインができるフロントエンドエンジニアは決して多いとは言えません。

したがって、Webデザインの道を極めれば、おのずと需要は上がります。

「Webデザインに関する知識が卓越している」「あらゆるデザインツールの使い方に詳しい」といった強みがあれば、現場で頼られる存在となることでしょう。

多くの関連スキルを身に付けることにも価値はあります。

しかし、「Webデザイン」という一つのスキルにこだわって徹底的に磨き上げていくことで、大きな武器となり、Webデザイナーとして生き残れる可能性を高めることができるはずです。

作業スピードを上げる

実に単純なことではありますが、Webデザインを制作するスピードを上げることができれば、コーディングスキルの有無に関係なく、Webデザイナーとしての希少価値を高めることができます。

仮に、同じようなクオリティのバナーを、30分で作成できる人と1時間で作成できる人がいたら、どちらに依頼したくなるでしょうか?

当然、30分で作成できる人を選ぶでしょう。

経験やスキル次第では、クオリティを落とさずに制作スピードを上げるということは十分可能です。

「作業が早い」という強みも、Webデザイナーとして生き残る上で重要な要素です。

コーディング以外の関連スキルを身に付ける

何らかの理由で「コーディングには抵抗がある・苦手意識がある」と感じている方もいるかもしれません。

そういった場合は、無理にコーディングスキルにこだわらず、その他の関連スキルに目を向けてみるのもよいでしょう。

例えば、WebマーケティングスキルもWebデザインに役立ちます。

Webマーケティングに関する知識があれば、「ユーザー目線でデザインを作成できる」「SEOを意識できる」といったことが可能になるからです。

Webデザイナーとしての付加価値を高めることができるのはコーディングスキルだけではないので、自分にマッチしたスキルを探してみるとよいでしょう。

まとめ

以上、Webデザイナーにコーディングスキルが必要な理由や、コーディングについてどこまで学ぶべきか、独学でコーディングを習得するにはどうすればいいのか、などについて解説しました。

Webデザイナーという職種が人気であることや、「Webデザイナーはコーディングまでできて当然」と考える企業も少なくないため、可能ならばコーディングスキルについては習得しておくべきです。

しかし、どうしてもWebデザイン一本でいきたい場合には、徹底的にWebデザインスキルを高めるという方法を選択するのもよいでしょう。

どういった生き残り戦略を立てるかは人それぞれですので、自分の価値観に合った選択をするようにしてください。

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