オウンドメディアの費用対効果を上げるには?計測の方法やタイミングも解説
オウンドメディアとは、自社で保有するメディア全般のことを指しますが、Webの世界では「企業が運営するホームページ」を意味します。
多くの企業がオウンドメディアを活用していますが、費用対効果を正確に計測し、効果を最大化するための具体的な方法を理解できているケースは意外に少ないものです。
本記事では、オウンドメディアの費用対効果を上げるための具体的な方法と計測のタイミングについて解説します。
目次
オウンドメディア運用の費用対効果は良い?悪い?
オウンドメディアの費用対効果の良し悪しは、成果指標に則した運用になっているかどうかという点が重要になります。
まずは、オウンドメディアの最重要指標(KGI)と中間指標(KPI)を決めましょう。
よく成果指標として挙げられるのは下記です。
- PV数
- UU数
- セッション数
- SNSでのシェア数
- CV数
- ターゲットキーワードの検索順位
ほかにも多くの成果指標がありますが、主な成果指標は上記です。
オウンドメディアの成果指標を決めたうえで、成果指標に則したオウンドメディアの運用を行いましょう。
例えば、認知拡大のための集客が目的なのに、自社サービスの訴求にばかり力を入れてしまってはオウンドメディアとして成立せず、費用対効果が悪くなってしまいます。
オウンドメディアは長期運用が前提であることを理解し、正しい方法で継続的に運用することで、費用対効果の高いオウンドメディア運用が可能となります。
オウンドメディアの費用対効果を上げる7つのコツ
オウンドメディアで成果を上げるには、下記のようなことを意識して運用しましょう。
- 運用目的を明確にする
- オウンドメディアを制作・運用するチームを立ち上げる
- 専門分野については外注する
- 記事の質にこだわる
- 記事のリライトを定期的に行う
- アフィリエイトも活用する
- 最低でも2年は運用を継続する
運用目的を明確にする
オウンドメディアの効果を最大化するためには、まず運用目的を明確にすることが重要です。
運用目的が明確であれば、具体的な戦略や運用方法を立てやすくなります。
例えば、認知度の向上を目的にする場合とリード獲得を目的とする場合では、執筆する記事の内容や選定するキーワードが大きく異なります。
認知度の向上を目的にする場合では、選定するキーワードは検索ボリュームが高く検索面への露出をしやすいキーワードとなります。
一方で、リード獲得を目的とする場合では、自社の商品を探している顕在的なニーズを持った顧客が調べるキーワードを選定し、記事内でも自社の商品への導線設計を考える必要があります。
このように、明確な運用目的を持つことで、効果的にオウンドメディアの運営を行うことが可能になります。
オウンドメディアを制作・運用するチームを立ち上げる
オウンドメディアの運用は、様々な作業が発生します。
戦略的に運用することが、費用対効果を上げるためには重要です。
そのため、社内で手の空いている人が対応するといったあやふやな運用体制では、ほとんど成果が出ず、無駄な費用がかかり続ける可能性が高いです。
初期投資はかかるものの、オウンドメディアを制作・運用するチームを立ち上げることで費用対効果の高いメディア運営を実現しやすくなります。
主なオウンドメディア運用を担当するチームの役割は下記のようなものがあります。
ポジション | 役割 |
運用責任者 | メディアの全体管理や運用方針を決定する |
ライター | 記事コンテンツの作成や修正を行う |
デザイナー | オウンドメディアのデザインを担当する |
エンジニア | オウンドメディアのサイト構築を担当し、機能の追加や改善を行う |
アナリスト | オウンドメディアの現状分析を行い、施策の方向性や現在の改善点の洗い出しを行う |
適切に役割分担したチームを組成することにより、オウンドメディアを効率的かつ成果を最大化できる運用が可能です。
専門分野については外注する
リソース的に、オウンドメディアの運用を内製化するのが難しい場合は、対応できない専門分野を外注するのも有効です。
例えば、法律関連などのYMYL領域の記事は、専門知識を持ったプロに依頼することで、より信頼性の高い情報を提供することができます。
(YMYL領域とは、「Your Money or Your Life」の略で、お金や人生など重要な話題に関するコンテンツを指します)
外部ライターのネットワークを活用することで、専門知識を取り入れ、リソースの効率的な運用が可能となります。
このように専門分野を外注することで、社内リソースを効果的に使い、コンテンツの質とオウンドメディアの信頼性を高めることができます。
記事の質にこだわる
オウンドメディアの記事は、ただ新規記事をたくさんアップすればいいというわけではありません。
オウンドメディアの流入数獲得には、SEOが欠かせません。
SEOのためには、記事本数も確かに重要ですが、質の高い記事の作成のほうが重要度は圧倒的に高いのです。
オウンドメディアの記事数が増えても、低品質な記事が多いと検索順位が上がらない可能性が高いです。
検索エンジンのインデックスの対象にならない可能性も上がります。
高品質な記事作成を行うためには、以下のことを意識してコンテンツを作成しましょう。
- 読者の検索意図を深掘りし、必要な情報を洗い出す
- 自社のサービスが選ばれている理由やメリットを理解し、コンテンツに反映する
- 経験談や事例など、競合が真似しにくい内容を盛り込む
上記の中で最も重要なのは、読者の検索意図の深掘りです。
「Googleが掲げる10の事実」でも、「1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」と記載されており、徹底してユーザーファーストという点を重要視していることがわかります。
このようにユーザーニーズを満たした専門性・信頼性の高いコンテンツを作成することにより、オウンドメディア全体として好影響を受けやすくなります。
記事のリライトを定期的に行う
オウンドメディアのコンテンツは、一度アップして終わりではなく、継続的にリライトを行うことが重要です。
Googleのアルゴリズムアップデートにより、ページをアップしたタイミングで有効だった施策が変わる可能性もあるからです。
また、ユーザーニーズも様々な外的要因により変化することも多くあり、そのタイミングで正しくユーザーの検索意図を満たしたコンテンツになっているかという点も重要です。
新しいアルゴリズムや検索意図が変わることに対応していくために、定期的なリライトを行いましょう。
具体的には、既存記事に対して下記のようなリライトを心掛けるべきです。
- 古い情報を最新情報に変更する
- 検索意図を満たすタイトルや見出し、コンテンツに変更する
- 必要ない情報を削除する
定期的に記事をリライトして常に最新の情報を提供することで、オウンドメディアの効果を高めましょう。
アフィリエイトも活用する
アフィリエイトを導入することで、広告収入を得ることに期待できるため、オウンドメディアの利益を増やす手段の一つとなります。
また、自社商品やサービスに関連するアフィリエイトを選ぶことで、顧客のニーズにも応えられます。
例えば、旅行に関するオウンドメディアを運営している場合、旅行関連の商品やサービスのアフィリエイトリンクを記事内に挿入することで、読者がリンクを経由して購入した際に報酬を得ることが可能です。
アフィリエイトを積極的に活用し、オウンドメディアの収益性を向上させましょう。
定期的に成果を測定し、最適なアフィリエイト商品やリンクを選定することで、収益の最大化を図ることが重要です。
最低でも2年は運用を継続する
オウンドメディアを中途半端な運用期間でやめてしまうことは、大きな機会損失につながります。
費用対効果として考えた場合でも、これまでの施策が無駄になるので最悪です。
オウンドメディアの運営は、結果が出るまで時間がかかるものと理解しましょう。
実際にGoogleの「SEOのスターターガイド」には、記事追加やリライトがきちんと検索順位に反映されるまでに約4ヶ月~1年程度は必要と書かれています。
半年や1年といった投資期間でオウンドメディアの運営をやめてしまうと、それまでの費用や労力がすべて無駄になってしまいます。
短期的な成果が出づらいことを社内で共有し、オウンドメディアの特性を理解してもらうことも重要です。
オウンドメディアの費用対効果を計測するタイミング
オウンドメディアの効果計測は、データが溜まっていない段階で計測・分析をしても効果が薄いです。
オウンドメディアの費用対効果を測るタイミングは、半年~1年程度が最も良いと言われています。
Googleがコンテンツを評価し始めるのに少なくとも3ヶ月はかかると言われているためです。
一定のデータが溜まったら、月に一度程度の頻度で効果測定を行いましょう。
運営に費用と工数がかかるため、早く費用対効果を測定して、社内の理解を得たいと思うかもしれません。
しかし、適切なタイミングで効果計測を行っておらず、不十分なデータで費用対効果を計測してしまった結果、オウンドメディアの運営停止の判断につながるケースも多くあります。
オウンドメディアの効果計測は、最適なタイミングで行えるようにしましょう。
オウンドメディアの費用対効果を計測する方法
オウンドメディアを成功させるためには、適切な費用対効果の計測が不可欠です。
オウンドメディアの費用対効果を測る指標は下記の通りです。
- 売上データをもとにする
- リード獲得状況から算出する
- PV数やUU数を参考にする
売上データをもとにする
人件費や外注費などのオウンドメディアの運営費を算出し、オウンドメディアからどれだけの売上が発生しているかで費用対効果を算出する方法があります。
売上だけだとわかりづらい場合は、ROIで算出する方法を推奨します。
ROIの算出式は下記の通りです。
ROI=(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100
【例】
売上:500万円
原価:200万円
運営費:100万円
利益:200万円
ROI:200%
上記の場合だと、投資額に対し、200%の利益が出ていることとなります。
そのため、オウンドメディアの施策は成功していると言えるでしょう。
このように売上高を参考にすることで、実際にオウンドメディアの運営がどの程度自社の利益に貢献しているのかを測ることが可能です。
自社にとって無理のない目標と計画を立てて計測を行いましょう。
リード獲得状況から算出する
特にBtoB企業のオウンドメディアの費用対効果の算出に効果的な手法です。
BtoB企業のオウンドメディアでは、リードを獲得し、見込み顧客に対して営業し受注するという形が一般的です。
そのため、リード獲得単価での費用対効果の算出が現実的です。
具体的には、1リードあたり、オウンドメディアと広告などの他の施策でどちらの方が安価にリードを獲得できているかを比較することにより、オウンドメディアの費用対効果を算出することが可能です。
適切に各施策のリード獲得単価を算出し、オウンドメディアの費用対効果を測りましょう。
PV数やUU数を参考にする
主に認知度向上や人材獲得などのブランディングを目的としたオウンドメディアの場合は、PV数やUU数を参考に費用対効果を算出しましょう。
例えば、月間のPV数が順調に増加している場合、それはオウンドメディアが訪問者を引き付け続けていることを意味します。
同様に、UU数が多い場合、多くの新規ユーザーがサイトに訪れていることを意味します。
オウンドメディアの費用対効果の測定方法は様々ですが、自社のオウンドメディア運営の目的に応じた正しい方法で費用対効果を計測しましょう。
オウンドメディアの費用対効果を高める上でやってはいけないこと
オウンドメディアの効果を高めるには、必ず避けるべき共通の落とし穴があります。
これらを理解し、適切に対処することで、オウンドメディア運用の成功率を向上させることができます。
オウンドメディア運用の費用対効果を高めるために絶対に避けるべき2つの主な失敗について詳しく解説します。
運用序盤から費用対効果を意識してしまう
オウンドメディアは、ある程度の結果が見えてくるまでに1年~2年は必要となります。
運用開始から半年程度は、ほぼ成果が出ないことを理解し、その時点での費用対効果を考えず、中長期視点での運用を考えましょう。
半年や1年で成果が出ないからといって運用コストを大幅にカットする、といったことをしてしまうと、中長期的に費用対効果が悪くなります。
オウンドメディアは企業にとって重要な資産となり得ます。
質の高いコンテンツが蓄積されることで、検索順位が上がり、流入も増加します。
中長期的には、費用対効果も向上し、安定した収益源としての役割も期待できることでしょう。
SEO業者を適当に選ぶ
オウンドメディアの効果を向上させるためには、SEOが必須です。
状況に応じてSEO業者を利用するのも有効ですが、中にはスパム的な手法でGoogleのガイドラインから外れたやり方で順位を上げようとする業者もいます。
SEO業者を選ぶ際には、過去の実績をしっかり確認し、信頼できる業者を選定することが重要です。
SEO業者を選ぶ際に見るべきポイントは下記の通りです。
- 過去の同業他社での実績
- 営業時の提案内容
- プロジェクト体制
- 具体的な提供サービス
見積りを取る際には、各業者のサービス内容を比較し、どの程度の費用対効果が期待できるのかを慎重に検討した上で発注の意思決定を行いましょう。
まとめ
オウンドメディアの費用対効果を高めるには、適切なタイミングで計測を行い、目的を明確にし、高品質なコンテンツを提供することが重要です。
また、チームの構築や専門分野の外注など、効率的な運用方法を取り入れることも効果的です。
この記事を参考にして、ぜひオウンドメディア運用に役立ててください。